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仮想リクルーティング活動
わたしの職業は素浪人だ。誰にも仕えず何処にも召し抱えられず、刀一本、いや筆一本で世を渡り歩く。これは自分で選んだ生き方で、それをかなり好いているわけだけど、たまに自分が社会フロウからはじき出された心持ちになる。ひとりで調査し、取材し、執筆し、記事がようやく刷り上がる。それでもちろん社会人としてのペイを頂いているわけだけど、あまりに独りで居続けるため、たまに自分が世に本当に貢献できているのか疑問に思えることがある。わたしはちゃんと大人としての基礎戦闘力を培えているのか。どうなんだ。
そこでここ一週間ほどある実験に出た。素浪人であるわたしの実力は、一般市場でどれだけ有用価値のあるものなのか。簡単にいうなら就職活動をしてみることにした。とはいえ本気で将来の職場探しをしている新卒採用の子たちに混ざって企業廻りをするような、無礼なふるまいをするわけではなく。主にインターネットを使って海外や日本の企業に、自分がいままで培ったスキルである「文章」「知識」「語学」などを売ってみることにした。本業も忙しい日々がつづいていたけれど、気分転換として、英文の履歴書を書いたり、英語で文章を書いたり、目的がはっきりしているため学習効果も高くて作業は楽しかった。そして、レスポンスを待つこと数日。結果からいうと、いまだに新卒採用が主流な日本市場からはまったく音沙汰がなく、スペインとインドから仕事のオファーが来た。特にスペインのほうは、アディダスのプロジェクト・チームに入らないかというオファーでなかなか楽しそうに思えた。本気で逡巡した。一ヶ月ぐらい、試しにやってみてもいいかもしれないと思った。
その仕事を受ける受けないはべつにして、自分が社会に通用する人間になれている、という事実が嬉しかった。そんなもん対外評価がなくとも自分でわかって進んでいけよと非難されるかもしれないし、それはそのとおり全くごもっともなのだけれど、試しにバーチャル・リクルーティングをしてみたくなったのだ。まさか本気で採用されるなんて九割がた思っていなかったので、正直驚いた。この不景気のどん底のさなかに、そんな馬鹿げた動機で就職活動しやがって、とボコボコにされそうな話をして本当にごめんなさい。陳謝です。明日からまた、独立独歩、きちんとプロの文筆家として精進していきます。
追加余談。ナイトヨガをはじめたのだけれど、ある一定の種類の基本ポーズがどうしてもできない。原因をもろもろ考えた結果、わたしは身長比に対して腕が異常に短い事実が判明。別の名を借りるなら、これは胴長ともいう。
(February 4, 2010)
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