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先史時台へのトリップ
アイルランド最果ての地におもむくことになった。そのまえに原稿をしこたま書き上げなければならないため、最近、夜睡るころになるともうパソコンを見る眼がしょぼんでくる。気づけばずいぶんブログを書いていない。しかしアイルランドである。そして行く場所は、ダブリンでもコークでもなくちいさなちいさなアラン諸島。最近ではマーティン・マクドナーの戯曲でいちぶ演劇好きの耳にはなじみのある(しかし多くの人にとってはまったく知られていない)、イニシュモア島、イニシュマン島、そしてイニシィア島の、三つの小さな孤島からなる灰色の地を訪れることになる。三島のうちで最もおおきいイニシュモア島でも、人口800人ほど。イニシュマン……にも確かいく予定なのだが、ここはその半分も人影がないと聞いた。要は人より、牛や羊のほうが多いのだ。しかも石灰岩の岩盤でできた大地は、海から落差200メートルの断崖がそそり立つ不毛の地。島民たちはうっすらと地面のうえに敷かれただけの土が、強風で飛ばされてしまわないよう、必死に石垣を築き上げるという。いったい、どれほど未知の文明が残る国なのだろう。先史時台の巨石文化、いまだゲール語を話すケルト人たちの文化、寂しい波音と海藻の匂いと風の叫びにつつまれた吹きっさらしの大自然。期待はふくらむが食べ物はまずいらしい。来週出発。まずは、とりあえず原稿を書き上げねば。
(September 16, 2009)
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