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博多商人の街は健在
天災と同じくらい早起きを嫌悪する私が、朝7時という残酷なフライト時間に打ち勝って、久しぶりに福岡空港に降り立った。まあ朝いちの仕事なので致し方ない。だが開始時刻が早かったため、午後に少し時間があくことに。昼寝をするのももったいないので、少し街の様子を見てまわることにした。すると、ふと気づいたことがいくつか。
まず異常に多くの質屋の看板が目に飛びこんでくる。しかもシャネルやグッチといった超一流ブランドよりもやや価格帯が下の、伊勢丹系のブランドを扱う若者層がターゲットの質屋。それらがいっけん代官山にあるセレクトショップのような風情を装い表通りに軒を並べている。これはどういうことなのか。今日は折しも都合よく多くの二十代男女と話す機会に恵まれたので、さっそくその理由を事情聴取してみた。すると面白い回答が。彼らの世代にとっては質屋にいくことは、さほど後ろめたいことでも、日常から遠いことでもなく、普通にあまり使用しないヴィトンの鞄や、マーク・ジェイコブスの靴や、ギャルソンのシャツなどを、換金しにいくコンビニエントな場なのだという。使わないものは価値が落ちないうちに売りさばく。さすが博多商人の街。商売っ気がいまの若者にまで難なく浸透している。もしかすると、ある面では消費の回転率が東京より早いのかもしれない。
もうひとつ気づいた発見は、人と人とが「対面で会う」ことに絶対的な価値を見いだしていること。とりあえず「何か一緒にやろう」となったら、電話やパソコン上でのやりとりはさほど信用せず、まずはなにをさておき直接会う。できれば酒を酌み交わしながら会う。そして相手が発言する内容云々以上に、やる気や覇気や男気を買ったぞ、となったときにはじめて実際のプロジェクトが動きだす。だから今日会った若者たち数十名も予想以上にアナログで、ネット上でコミュニケーションが完結してしまうような仕事は「信頼できなくて怖い」という発言が頻発していた。私なんて最近では、発注相手の顔も見ない声も聞かないで原稿を請け負うこともしばしば。それを彼らに伝えたら、異星人を見るような目で驚かれた。ちなみに本日の個人統計によると、福岡でのiPHONE使用率は二十代の若者11人中ひとり。Googleで検索以上のことができることを知っている人は11人中2人。SKYPEを知っている人はゼロ。私のほうが驚いた。
(August 24, 2009)
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