Interview

Report / ジョエル・ポムラ「Ma chambre froide」

April 4, 2011
Report / ジョエル・ポムラ「Ma chambre froide」

ジョエル・ポムラ。「フランスでいま面白い芝居家は誰だ」という問いに対し、十中八九帰ってくるのがこの名前。エリート主義な仏演劇界では珍しく、一役者からの叩きあげで作家兼演出家として独り立ちした逸材。陰鬱ながらも生の彩やかさにみちたポエジーと、多義的な読解を可能にするナレーションを軸に、現代社会へ訴求力のあるリアル叙情詩を提示してみせる。そんなポムラの最新作「Ma chambre froide(わたしの貯凍室)」をオデオン座附属の小劇場アトリエ・ベルティエで観劇した。 »

Report / カロリン・カールソン「Blue Lady」

March 28, 2011
Report / カロリン・カールソン「Blue Lady」

上演時間75分。たったひとりのダンサーがルネ・オーブリーの神秘的な音楽にあわせ、舞台上で5人のレディを踊りわける。あるいはそれは、人生の春夏秋冬の踊りわけだともいえる。現在のダンス業界の一般常識では、フルレングスの作品というと、美術やセットや人海戦術で豪華さを出すのがあたりまえとなっている。だがかつて70年代にパリ・オペラ座バレエ団から「エトワール兼振付家」の名誉職を得たカールソンは、身ひとつで舞台に立ち、一時間以上の舞台を堂々持たせることができた。この偉業の後釜をいったい誰が引き継ぐのか。当時いろいろな情報が噂され、かのシルヴィ・ギエムも依頼を断るという裏事情があったすえに、08年からこの大任を受け継ぐことになったのがフィンランドの男性振付家テロ・サーリネンだ。カールソンの代表作のひとつ「ブルー・レディ」のRevisited(再訪)版を、パリ郊外のThéâtre Cachanにて観劇した。 »

Report / 「春琴 Shun-kin」

December 22, 2010
Report / 「春琴 Shun-kin」

ロンドンのバービカン劇場やパリ市立劇場での上演を経て、日本での再々演を迎えたサイモン・マクバーニー演出『春琴』。谷崎潤一郎作『春琴抄』に『陰翳礼賛』の美学を重ね、現れては溶けゆく、数々の墨絵が視覚化されていく。 »

Travelogue / 時を紡ぐ島 — アラン諸島

December 18, 2010
Travelogue / 時を紡ぐ島 — アラン諸島

視野をひろげると、あたりは地平線の先の先まで、空と石と草の風景。耳には雄大な大西洋のさざめきと微かな鳥のさえずりがときおり風に乗って響き、その飾り気のない石と海の世界のすべてを一種独特の「寡黙さ」が包みこむ。荒蕪の地アラン島にて、静寂の時を味わう。JAL機内誌『AGORA』の記事を一部改訂して再録。 »

Interview 宮永愛子 / アーティスト

October 18, 2010
Interview 宮永愛子 / アーティスト

衣服や靴などの日用品をナフタリンでかたどった作品や、川や海から抽出した塩の結晶を育てて生みだされた造形物など、時間とともに静かに変容してゆく繊細なクリエイションが世界で高く評価される宮永愛子。あいちトリエンナーレで発表した新作『結―ゆい―』についてインタビューに応えてもらった。 »

Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

August 6, 2010
Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

「これはダンス?」と思うとセリフが語られ「演劇?」と思うとインスタレーションのごとく沈黙する。さらに舞台上で引用される、バタイユやニーチェによる強烈哲学に思考を馳せていると、いきなり劇場全体が真っ白な濃霧に襲われる。まさに思考と体感の極限体験。なるほどヤン・ファーブルに見初められたアーティストだと聞いて納得がいった。現代芸術界の巨匠が、ダンスとも演劇ともアートともつかぬ先鋭作品を創作するのと同様、若きジゼル・ヴィエンヌもまた非常にジャンル越境的な舞台を創造するからだ。7月のアヴィニヨン演劇祭にて新作『This is how you will disappear(こうしておまえは消え去る)』を発表した彼女に、現地でインタビューを行った。 »

Dance Review 山海塾 KARA・MI

June 10, 2010
Dance Review 山海塾 KARA・MI

山海塾の二年ぶりの新作『KARA・MI』がパリのテアトル・ド・ラ・ヴィルで世界初演を迎えた。春先とは思えぬ凍えぬ寒さとそぼふる雨に濡れるパリを訪れ、現地で新作をいちはやく観劇。終演後、劇場となりのカフェ・サラ・ベルナールで天児牛大から創作の鍵となるコメントももらった。 »

Interview ホッフェシュ・シェクター / 振付家

June 1, 2010
Interview  ホッフェシュ・シェクター /  振付家

イスラエル随一のダンスカンパニーであるバットシュエバ舞踊団のダンサーとして活躍したのち、フランスで打楽器演奏を学び、振付家として独立した34歳のホッフェシュ・シェクターが新作「Political Mother」で初来日。振付・作曲・構成のすべてを担うカンパニーの総合指揮官の風貌は、いまどきの気弱な青年にも見えるが、稽古場での彼は大企業のCEOさながらに迷いなく、ダンス、音楽、構成、すべてを事細かにコントロールしていく。そしてこの不明瞭さのない完璧主義により、英国ガーディアン紙に「ホフェッシュ・シェクターは完全にオリジナルな才能だ」と絶賛される世界観を作りあげてみせる。カンパニーの拠点が置かれる、英国ブライトンにて四月に単独取材を行った。 »

Interview マリアネラ・ヌニェス / ダンサー

May 29, 2010
Interview マリアネラ・ヌニェス / ダンサー

振付家フレデリック・アシュトンはかつて南アフリカ出まれのダンサー、ナディア・ネリーナのために『リーズの結婚』を作りあげた。それからちょうど半世紀。アルゼンチン出身の舞姫マリアネラ・ヌニェスは、まるでそれが自分のために仕立てられたダンスであるかのようにリーズ役をものにしてみせる。また二年前に初挑戦した『ロミオとジュリエット』でも、英国ガーディアン紙から「舞台にいるダンサーのために物語が書き下ろされたように思える」という賛辞を獲得。どうやら現在のヌニェスは、ダンサーとしての最盛期を迎えつつあるようだ。19歳にしてプリンシパルの座に就いてから、早くも8年。コスモスのように朗らかな彼女ならではの少女っぽさに、成熟した女性らしさをまといつつあるヌニェスと、3月某日、『リーズの結婚』の本番翌日に言葉を交わした。 »

Interview 蜷川幸雄 / 演出家

May 7, 2010
Interview 蜷川幸雄 / 演出家

日本を代表する演出家である蜷川幸雄。東京にいると彼の芝居が毎晩上演されているような錯覚を覚える。それほど蜷川は、キャリアが四十年を超す今も、驚異的な多作体制を崩さない。また量が過剰なら質も過激。この演出家はつねに、人の足場を揺るがすような、熾烈な劇世界の台風に観客を巻きこんできた。その刺激によって日本の演劇界が、どれほど大きく変容してきたことか。まさに彼の存在なくしては、今の日本の演劇界はありえない。好奇心旺盛で勉強熱心、照れ性で誠実で、誰よりも自分に厳しい。年中無休で火を吹きつづける創造のシリンダーを原動力に、今日も、創造の現場に立ち向かう。その過激な半生の、足跡を追う。 »