Dance

Avignon Report ナチェラ・ベラーザ / Le Cri

July 26, 2009
Avignon Report ナチェラ・ベラーザ / Le Cri

アヴィニヨンの街が気怠さに呑まれる午後三時。さらさらとプラタナスの葉を揺らすローヌ川からの涼風がぱたりとやむ。その風の音にかわり耳に届くのは、日本のそれよりもオクターヴ高いどこか乾いた蝉しぐれ。背後からは白色光線を放つ南仏の巨大な太陽が重石のようにのしかかってくるーー。そんなさなか、蟻の巣のように入りくんだ路地を抜けた先にある小さな教会前には、時刻にそぐわぬ黒山の人だかりができていた。汗みどろな人々は今日ここに、ある年若いムスリム女性によるダンス公演を観にきたのだ。 »

Travelogue ピュターン!

June 18, 2009
Travelogue ピュターン!

一週間もつづく夜雨で街路樹さえ風邪をこじらせそうなパリの晩秋。天候の悪化と平衡してみるみる機嫌も悪化していく出不精なパリジャンたちを尻目に、東京通勤速度の早足で、パリ四区シャトレ広場のテアトル・ド・ラ・ヴィルへ向かう。夜八時。 ピナ・バウシュ、ヤン・ファーブル、ウィリアム・フォーサイスといった名だたる振付家の世界の交叉点でもある百五十年近い歴史を持つ名門劇場に足を踏み入れる。 »

Interview ジュリエット・ビノシュ / 女優

April 6, 2009
Interview ジュリエット・ビノシュ / 女優

知的好奇心でふくらむ胡桃ような瞳をむけて、てらいなく眼の前に座る女性が44歳だとはとても思えない。そこに居るのは『ポンヌフの恋人』のミシェルや、『存在の耐えられない軽さ』のテレザや、『イングリッシュ・ペイシェント』のハナと同じく、いつでも迷いなく愛することに身を投げ、矢のようにまっすぐに衝動に従って生きる、生命力に満ちた若々しい女性。だから女優ジュリエット・ビノシュが、いきなりパリ市立劇場での公演『In−i』で”ダンサー”として舞台に立つと聞いたときも、さほどの驚きはなかった。彼女はただ自分の心に従い、新たな好奇心に生きただけ。 »