Dance

Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

August 6, 2010
Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

「これはダンス?」と思うとセリフが語られ「演劇?」と思うとインスタレーションのごとく沈黙する。さらに舞台上で引用される、バタイユやニーチェによる強烈哲学に思考を馳せていると、いきなり劇場全体が真っ白な濃霧に襲われる。まさに思考と体感の極限体験。なるほどヤン・ファーブルに見初められたアーティストだと聞いて納得がいった。現代芸術界の巨匠が、ダンスとも演劇ともアートともつかぬ先鋭作品を創作するのと同様、若きジゼル・ヴィエンヌもまた非常にジャンル越境的な舞台を創造するからだ。7月のアヴィニヨン演劇祭にて新作『This is how you will disappear(こうしておまえは消え去る)』を発表した彼女に、現地でインタビューを行った。 »

Dance Review 山海塾 KARA・MI

June 10, 2010
Dance Review 山海塾 KARA・MI

山海塾の二年ぶりの新作『KARA・MI』がパリのテアトル・ド・ラ・ヴィルで世界初演を迎えた。春先とは思えぬ凍えぬ寒さとそぼふる雨に濡れるパリを訪れ、現地で新作をいちはやく観劇。終演後、劇場となりのカフェ・サラ・ベルナールで天児牛大から創作の鍵となるコメントももらった。 »

Interview マリアネラ・ヌニェス / ダンサー

May 29, 2010
Interview マリアネラ・ヌニェス / ダンサー

振付家フレデリック・アシュトンはかつて南アフリカ出まれのダンサー、ナディア・ネリーナのために『リーズの結婚』を作りあげた。それからちょうど半世紀。アルゼンチン出身の舞姫マリアネラ・ヌニェスは、まるでそれが自分のために仕立てられたダンスであるかのようにリーズ役をものにしてみせる。また二年前に初挑戦した『ロミオとジュリエット』でも、英国ガーディアン紙から「舞台にいるダンサーのために物語が書き下ろされたように思える」という賛辞を獲得。どうやら現在のヌニェスは、ダンサーとしての最盛期を迎えつつあるようだ。19歳にしてプリンシパルの座に就いてから、早くも8年。コスモスのように朗らかな彼女ならではの少女っぽさに、成熟した女性らしさをまといつつあるヌニェスと、3月某日、『リーズの結婚』の本番翌日に言葉を交わした。 »

Interview リャーン・ベンジャミン / ダンサー

April 20, 2010
Interview リャーン・ベンジャミン / ダンサー

山椒は小粒でもぴりりと辛い。英国ロイヤル・バレエ団で17年プリンシパルとして踊りつづけ、英国帝国勲章受賞者でもあるリャーン・ベンジャミンは、理想的な細身のバレリーナ体型で身長たったの158cm。「ハロー、今日はよろしくね」と挨拶するその姿は十代の可憐な少女のよう。だがひとたび取材が始まると、大企業のビジネスエリートのように鋭利に質問に応えていく。イエスのときはイエス、ノーのときはノー。彼女のバレエ哲学には曖昧さがない。そして明日のほうがほんの少し今よりよいダンサーになれるよう、努力家な彼女は今日も稽古場のバーの前に立つ。 »

Interview ジル・ロマン / 芸術監督・ダンサー

January 17, 2010
Interview ジル・ロマン / 芸術監督・ダンサー

「他の誰でもなく彼だけが……私のバレエを、継続し、保存し、所有するただひとりの人間だ」。2年前に逝去したバレエ界の巨匠モーリス・ベジャールから、まるで父子のような深くゆるぎない信頼をえて、ベジャール・バレエ・ローザンヌの芸術監督職に就任したジル・ロマン。この新たな統率者のもとカンパニーは、巨星を失ったのちも決して灰まみれの死火山になることなく、ベジャール自身も好んだ進取の気性にとんだ活発な創作に挑みつづけている。 »

Interview ピーター・マーティンズ / NYCB芸術監督

December 20, 2009
Interview ピーター・マーティンズ / NYCB芸術監督

ニューヨーク・シティ・バレエの芸術監督として、単独でカンパニーを率いるようになり今年で20年。西62丁目のオフィスビル、燦々と夕陽がさしこむ摩天楼最上階のディレクターズ・ルームで執務を取りしきるピーター・マーティンスは、63歳とは思えぬ若々しい好奇心で筆者を迎え入れてくれた。その小さな録音機は日本の最新機器か、東京の観客は今回の我々のプログラムをどう思っているのか。どちらが取材をしに来たのか分からぬほどの質問攻め。だがこの旺盛な好奇心があってこそ、ゆうに50を越えるシーズン演目を、つねに時代とズレのない視点で選び抜くことができるのだろう。NYCB2009 日本ツアー公式プログラムのために執筆したインタビューを転載。 »

Interview with Akram Khan / Choreographer

December 7, 2009
Interview with Akram Khan / Choreographer

Only in his mid-thirties, this young British- Bangladeshi choreographer has already tied up with the top-list greats in the bustling art world, gaining him a dashing stellar career and a center stage spotlight. Some of the names among his eminent co-workers are, the controversial British sculptor Anish Kapoor, the French ballet diva Sylvie Guillem, and... »

Avignon Report イスラエル・ガルバン / El final de este estado de cosas, redux

August 25, 2009
Avignon Report イスラエル・ガルバン / El final de este estado de cosas, redux

夜9時。街にたまる暑熱がひんやり心地よく夜風に冷やされるとき、アヴィニヨンの人々は今日もめいっぱい人生を謳歌した喜びを実証する幸せな疲れに身を預けていく。劇場に集まる人々のなかにも、パフォーマンスを見るよりもむしろ、頭を枕にうずめ瞼を閉じてしまいそうな半醒半睡な顔がちらほら。このはなはだ不利な条件下で、セヴィリヤ出身の天才バイラオール、イスラエル・ガルバンは闘いに見事に完勝してみせた。仏『ル・モンド』紙ものちの劇評で「1300人の観衆のただなかに隕石が落ちた」とこの状況を表現。その言葉が決しておおげさとは思えぬほど、フラメンコ界のウィリアム・フォーサイスと称されるこの異端児は、おネムなおめめの観客の意識を一瞬にして覚醒してしまった。 »

Paris Report ジョセフ・ナジ / Les Corbeaux

August 17, 2009
Paris Report ジョセフ・ナジ / Les Corbeaux

旧ユーゴスラヴィアの小村カニッツァ出身の振付家ジョセフ・ナジの作品を、言葉にするのはとても難しい。彼の作品を見て、カフカ的閉塞感があるとか、ボルヘス的な魔術性に満ちているとか、ベケット的な哀しみに満ちあふれているとか、必死に頭をこねくりまわし文学世界の記号で語ることはできるけれど、なんだか、そうすればするほどナジの世界は遙か彼方に遠ざかっていくように思える。むしろ私は彼の作品に、触覚や嗅覚など、もっと原始的な直感でアプローチしたい。特に今回、パリのメゾン・デ・メタロスで見た『Les Corbeaux(鴉)』はラスコーの壁画やアルタミラの洞窟に通ずるような、人間のプリミティブな創作衝動をたずさえていて、まさに直感的な体験であった。 »

Avignon Report ラシッド・ウラムダン / Des témoins ordinaires

July 27, 2009
Avignon Report ラシッド・ウラムダン / Des témoins ordinaires

温度計に容赦のない33℃の表示。だがこの街では「Salle Climatisée (室内冷房中)」とあえて明記されていないかぎり、多くのカフェやレストランは常温営業。これは市内の主な移動手段であるバスでも同じこと。公演場所に赴くとき、人々は埃っぽい市バスのなかでちょっとした我慢大会を経験する。今日上演されるアルジェリア系仏人振付家ラシッド・ウラムダンによる『Des témoins ordinaires (The Ordinary Witnesses) 』の会場も、アヴィニヨンの「intra-muros(街中央をぐるりと取り囲む城壁のなか)」から外へ、市バスで走行すること20分。Villeneuve (ヴィルヌーヴ) という、かつて修道士たちが居住まいを置いた、ローヌ川対岸の町に在る。祈りと暴力、秩序と混乱、光と影。相反する二つの要素を併せのむこの特異な場に、ウラムダンの演目はあまりにもぴたりとあてはまる。 »