Art

マレーシア現代演劇の現在

November 13, 2012
マレーシア現代演劇の現在

マレーシアで最先端の現代演劇が見たいとガイドブックをめくっても、残念なことに適切な情報に巡り会えるチャンスは少ない。今でもこの国を訪れる観光客の多くはマ・ヨンやガムランといった宮廷舞踊、あるいは各地域に根ざす民族舞踊を鑑賞することを好むからだ。もちろん、異種混合なマレーシアの歴史文化を反映するこれら舞踊を鑑賞することは素晴らしい。ただそうした博物館的な過去の文化ではなく、現在進行形の生きた舞台にこそ興味がある、そして実地に見てみたい、という若者たちもいるだろう。そこで、ここではあまり情報のないマレーシアのコンテンポラリー・シアターを紹介したい。 »

第2回 Berlin Report / ヨーン・ガブリエル・ボルクマン

May 18, 2012
第2回 Berlin Report / ヨーン・ガブリエル・ボルクマン

今年のTheatertreffen演劇祭、最大の話題作であるノルウェーの演出家+美術作家コンビ、Vegard VingeとIda Müllerによる日替わり即興演出の「ヨーン・ガブリエル・ボルクマン」12時間上演を観劇してきた。美術のみならず、衣装、メイク、効果音、など舞台上の全要素を徹底して「Manga化」し、そこに性描写や暴力表現といった18禁のパフォーマンスを、ダンス、オペラ、人形劇、映像、ビデオゲーム、といった手法を用いてのせていく。ノルウェー発・Mangaアングラ演劇のレポートをどうぞ。 »

第1回 Berlin Report / ランゲナハット 長い夜 演劇オペラ編

May 1, 2012
第1回 Berlin Report / ランゲナハット 長い夜 演劇オペラ編

第1回ベルリンシアター・レポート。初回は先週末4月28日に開催された「Lange Nacht(ランゲナハット)」—— Long Nightという名の一夜限りの舞台芸術祭を紹介したい。正式名称は「Lange Nacht der Opern und Theater(ランゲナハット・デア・オパーン・ウント・テアーター)」、意訳するならオペラと演劇にまつわる長い夜、といった感じのお祭りで地元情報に詳しい方によると、このランゲナハットはシリーズとして他に、長い夜・美術館編、長い夜・教会編、長い夜・科学編、そして長い夜・大学研究室編、なんてものもあるという。当日は8本の巡回無料バスがベルリン市内の57劇場をぐるぐる廻り、150もの演目が20分刻みで見放題。オスターマイアーの「ハムレット」も見られる本格志向の一夜演劇祭だ。 »

Report / フェデリコ・レオン「未来のわたし」

November 26, 2010
Report / フェデリコ・レオン「未来のわたし」

人間の過去は、必ず美化される。ある一瞬の笑顔が時のなかで倍加され、他の無表情で退屈な時間を呑みこんでしまう。若きアルゼンチン人演出家フェデリコ・レオンは、この甘やかに倍加された記憶時間に観客を誘ってみせる。そして特別な一瞬が、一時間にも、一生にも感じられる時空を紡いでいく。京都国際舞台芸術際で上演されたアルゼンチンの若き演出家の最新作への劇評。 »

Interview 宮永愛子 / アーティスト

October 18, 2010
Interview 宮永愛子 / アーティスト

衣服や靴などの日用品をナフタリンでかたどった作品や、川や海から抽出した塩の結晶を育てて生みだされた造形物など、時間とともに静かに変容してゆく繊細なクリエイションが世界で高く評価される宮永愛子。あいちトリエンナーレで発表した新作『結―ゆい―』についてインタビューに応えてもらった。 »

Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

August 6, 2010
Interview ジゼル・ヴィエンヌ / 演出家・振付家・人形作家

「これはダンス?」と思うとセリフが語られ「演劇?」と思うとインスタレーションのごとく沈黙する。さらに舞台上で引用される、バタイユやニーチェによる強烈哲学に思考を馳せていると、いきなり劇場全体が真っ白な濃霧に襲われる。まさに思考と体感の極限体験。なるほどヤン・ファーブルに見初められたアーティストだと聞いて納得がいった。現代芸術界の巨匠が、ダンスとも演劇ともアートともつかぬ先鋭作品を創作するのと同様、若きジゼル・ヴィエンヌもまた非常にジャンル越境的な舞台を創造するからだ。7月のアヴィニヨン演劇祭にて新作『This is how you will disappear(こうしておまえは消え去る)』を発表した彼女に、現地でインタビューを行った。 »

Interview ロメオ・カステルッチ / 演出家

December 11, 2009
Interview ロメオ・カステルッチ / 演出家

現代演劇界における異端の創造者。イタリア人演出家ロメオ・カステルッチには、アーティストというより「創造者」という称号が似つかわしい。それほど彼の生み出す作品群は、たった独りの人間によるものだとは思えぬほど圧倒的な知的精度とヴィジュアルイメージで観客に迫りくる。なかでも今回日本で上演されるダンテの『神曲』三部作は、鬼気迫るカステルッチの才能をみせつける大作群。この舞台に関して演出家本人に、今年4月ロンドンで取材を行った。強靱なロジックに裏打ちされた発言が、この創造者の尋常ならざる特異さをあらわしている。 »

Paris Report / ジャネット・カーディフ「40 声のモテット」 ニュイ・ブランシュ(3)

December 5, 2009
Paris Report / ジャネット・カーディフ「40 声のモテット」 ニュイ・ブランシュ(3)

トルコ人アーティスト・サルキスのインスタレーションですがすがしい充足感を得たのち、メトロには乗らず、気ままに夜の散策を愉しむことに。ソルボンヌ大学のあるカルチェ・ラタン地域を通り抜け、セーヌ川を渡り、対岸のシャトレ&マレ地域へというルートを辿ることに。カナダ人アーティスト、ジャネット・カーディフによる圧巻の音響インスタレーション『The Forty-Part Motet 40 声のモテット』やマーク・ウォリンガーの『Threshhoold to the Kingdom』を観てまわる。 »

Paris Report / サルキス「Litany」ニュイ・ブランシュ(2)

November 29, 2009
Paris Report / サルキス「Litany」ニュイ・ブランシュ(2)

夜10時。ダウナーな現代音楽が響くメトロ「Arts et Métiers」駅から地下鉄を乗り継ぎ、トルコ人巨匠芸術家サルキスのインスタレーション作品『Litany』が展示される5区のグラン・モスクに到着。そこには視覚・聴覚・嗅覚のすべてから観客を刺激する、光と水とバラの香による聖なる瞑想空間が作りあげられていた。 »

Paris Report / 眠らぬパリの芸術祭「ニュイ・ブランシュ」(1)

November 20, 2009
Paris Report / 眠らぬパリの芸術祭「ニュイ・ブランシュ」(1)

 イベント好きで知られるパリ市長、ベルトラン・ドラノエ氏。その彼が考案し今年で8回目をむかえるアートイベントが「ニュイ・ブランシュ」。直訳するなら白夜祭と題されたこの企画は、その名のとおり、パリ市内で夜っぴいてアート祭りがくりひろげられる。夜7時から朝7時まで、初秋のパリのいたる場所で、世界中の現代アーティストたちによる作品が無料で展示されることになるのだ。筆者はこの祭りに、今年はじめて参戦してきた。 »