第1回 Berlin Report / ランゲナハット 長い夜 演劇オペラ編

May 1, 2012

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「ベルリン」という都市名から日本人が連想するアートは、ざっくりザル分けして二パターンの芸術表現に分類できると思う。第一分類は、高級知識階層芸術。ダニエル・バレンボイムのベルリン国立歌劇場からサイモン・ラトルのベルリン・フィルまで、ドイツといえばオペラでしょ、クラシックでしょ、ワーグナーでしょ、と伝統がありながらもイタリアオペラのように保守傾向になく斬新解釈を堪能できるクラシック音楽の先鋭分子をヴァルトビューネ(野外コンサートが行われることで有名な森のなかの劇場)の新緑とともに鼻息あらく吸い込む古典猛者たち。私はよく知らないのだけれど、どちらかといえば、ドイツでは西方に住まう方々が多い気がする。ひるがえって第二分類は、実験的地下層芸術。圧倒的に東方に住まう方が多く、それもそのはず、ほとんどの名門クラブが旧東ドイツ地区に密集している。ベルリンテクノを代表する名門クラブ・トレゾアや、オーバーバウム橋近くのウォーターゲイドや103、フリートリヒスハインのベルクハイン、アレクサンダー・プラーツのウィークエンドなど、やっぱり私はよくは知らないのだけれど、エレクトロニックミュージックの大物たちの強烈音波を吸引すべく、地元民だけでなく週末ともなればライアンエアーやイージージェットなどのLCCに乗って電子音楽猛者たちが大挙を為してやってくる。「ベルリン!」と聞いて、オペラとテクノのどちらを連想するかで町のイメージは随分違う­ —— そしてそのどちらでもなく俺はヴェンダースの映画だよ、いやアルブレヒト・デューラーの版画だよ、やっぱヨーゼフ・ボイスだよ —— と、もう語らせたらうるさいから黙ってなさい、隣の彼女はしらけてるから、みたいな人は大勢いらっしゃると思う。

が、悲しいかな、そういうウルサ方のなかにもあまり演劇やダンスに関してうるさくなってくれる人がいない。いたとしても、ベルリン国立歌劇場バレエでポリーナ・セミオノワや中村祥子を見てきたよというバレエファンの方だったりする。私もバレエは好きなので、それはそれで鼻息のあらさを競えるのだが、もう一歩つっこんだ、来日公演や来日演奏がないからこそ認知度が高くない、けどおもしろい、コンテンポラリー・シアターの情報についても日本語で語りあいたい。そんな勝手な思いがあり、これから一月あまりはほぼコンテンポラリー・シアターに特化したベルリンブログを更新していくことにした。速度と分量を重視して更新していく予定なので、また完全に「ブログ」として記事を書く予定なので、クオリティの面で物足りない方もいらっしゃると思いますがその点はなにとぞご容赦ください。また、誤字脱字・誤情報などお気づきな点がありましたら、皆様そのつどご指摘ください。

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This entry was posted on May 1, 2012 at 07:33.

One Response to “第1回 Berlin Report / ランゲナハット 長い夜 演劇オペラ編”

  1. ユニオン 佐藤優

    新国立劇場公演プログラムの編集をしております、佐藤と申します。私どものプログラムに、上演作品とは別に、「世界の劇場」と題して、世界のナショナルシアターの歴史や実情などをリポートするシリーズ企画があり、これまで22回を数えています。次回公演で「ルーマニア」を考えておりますが、ぜひ岩城さんにご執筆いただきたく、メールいたしました。詳しくはpdfでサンプルをお送りしますが、お忙しい岩城さんのこと、こういう飛び込みの依頼が可能かどうか、お返事いただければ幸いです。・文字数:約2500字前後・締切:5月20日

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