Interview 岩松了 / 劇作家・演出家

February 1, 2010

肉体を描くのが僕の強み

 確かに岩松の戯曲は、水面下に隠された要素が多い。特に92年から活動を開始した<竹中直人の会>で彼が描写してきた数々の女性たちは、未知に溢れ、謎めいていて、感情の芯がつかめない。

「男はだいたい精神状態が読めるんですけど、女は自分で書いていてもどんな女なのか分からなくなることがあるんです。それがすごく面白い。たとえば『水の戯れ』の主役の女性を書いてるときなんて『もっとわからないところに俺を連れてってくれ!』って自分で書きながら興奮した覚えがありますからね」

 そんな彼の次回作は、やはり女性を主人公におく『箱の中の女』。竹から生まれたかぐや姫を着想点に、密輸船の箱から現れ歌い出す謎の女を一青窈にあてて描く。これまた言葉がすべてだと信じる人からすれば、冒頭から「わからない」の嵐。けどこうした五歳児思考ではとうてい咀嚼できぬわからなさにこそ、岩松芝居の類を見ない美質があるのだ。

「もし仮に僕に劇作家としての強みがあるとしたら、それは人間の肉体を描くことにあると思う。言葉がすべてだと信じて戯曲を書く人に対し、侮蔑の眼差しを向けるのが僕のポジションなんです(笑)」

 どうやらスタンダールは正しいらしい。
 田舎者の小胆さは、それが克服されると、かえって強い意志になることがある。

<初出 『TOPSTAGE』2009年 1月号>

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This entry was posted on February 1, 2010 at 22:55.

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