Interview ジル・ロマン / 芸術監督・ダンサー

January 17, 2010

「私は19歳のときからベジャールの側でずっと学んできました。ですからここで私があなたに、モーリスの精神をどう受け継いでいくかを改めて話す必要はありません。ベジャールのエスプリというものは非常に明確なものです。それは様々な映像資料にもとどめられています。なので私は、その路線に沿っていま芸術監督職を進めているわけです。と同時に、過去を足がかりにして前に進んでいくことも意識しています。BBLを博物館的なカンパニーにしても意味がありません。ですから新作のクリエーションにも積極的に挑んでいきます。ただいずれにしろ、ベジャールの作品であれ、新作であれ、そのなかから何を上演するかを決めるのは私です。私が決めるのです」

 この言葉どおりロマンは、新作/旧作おりまぜての刺激的な演目立てをここ2年間たゆまず試行してきた。とくに08年12月にはBBLの本拠地であるローザンヌのボリュー劇場で、歴史的ともいえる四本立て公演を発表。振付家マッツ・エクによるミハイル・バリシニコフとアナ・ラグーナ(元クルベリバレエのミューズでエクの妻)のため新作デュエット、モナコ公国モンテカルロバレエ団を率いる振付家ジャン・クリストフ・マイヨーによるベルニス・コピエテルスとジル・ロマンのための新作、そしてロマン自身の手による旧作『カジノ・デ・エスプリ』と新作『アリア』だ。端的に見てとれるように、ロマンは過去に依存することなく現在進行形で戦いつづけているのだ。

「戦い……、そう、そもそも私が『アリア』で私が描きたかったことじたいが、戦いですからね。私たちの誰もが内面に抱えている、自分自身との、自我との、戦い……。人間はみな、自意識と理性とを持っている。それが人間と動物を分けへだてているものです。けれども、人間のなかにも獣性も残っている。私はそうした対立をここで描きたかったわけです。ですから本作では、さまざまな対比事項がもりこまれています。たとえばそればニーチェとワーグナーであり、月と太陽であり、ギリシャ神話のテセウスとケンタウロスでもあります。ただどれほど真逆のものであっても、それはひとりの人間のなかに確かに在るものなのです。ですからその対比を、どのレベルで理解するか、どの”深さ”で解釈できるかが大切になってくるわけです。ただ二つの異なるものと捉える人もいれば、もっと物事を総体的に考える人もいる、わかるでしょうか?」

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This entry was posted on January 17, 2010 at 21:23.

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