Interview ジル・ロマン / 芸術監督・ダンサー

January 17, 2010

gil-roman一昨年の11月22日、スイス・ローザンヌの病院でモーリス・ベジャールが逝去した。まちがいなく二十世紀舞踊界を代表する巨匠振付家のひとりであり、一部の人々のための高尚芸術であったバレエに、まるでポップグループのような熱狂的センセーションをもたらしてしまった革命児。バレエ界にとってこの偉大な存在の消滅は、その銀河系で強烈な光を放ちつづけてきた恒星を突然失うかのような茫然自失の事件であった。だがそんな天才芸術家は、のちの世に自作を遺すべく無二の後継者を選んでいた。79年当時ベジャールが率いた「二十世紀バレエ団」に19歳の若さでダンサーとして入団し、のち34歳のときからは「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」(以下BBL)の副芸術監督を務めるようになるジル・ロマン。ベジャールは、すでにこの世を去る1年前に「他の誰でもなく彼だけが……私のバレエを、継続し、保存し、所有するただひとりの人間だ」と明言。この遺志を受け継ぐかたちでロマンは、恩師の死去そくざにBBLの芸術監督職に着任。そして「過去ばかりを見ていてはいけない。未来にむけて前進しなければ」と、早くも翌月の12月には、パリにある客席数4500の巨大施設パレ・デ・スポールで、ベジャールの遺作『80分世界一周』を上演した。

「ベジャールの作品を上演しつづけること、それは観客のためでもあり、ひいては人類全体のためでもあります。そしてそれは私のひとつの義務なのです」

 48歳とは思えぬ若く鋭い眼光からは、宙を飛ぶ孤高の猛禽類のような強烈な意志が放たれる。そして「ベジャール」という言葉をこちらが質問で口にするたびに「過去のことは話すのは止めましょう。いまは”私が”芸術監督なのです」とフランス語の主格Je(私)を力強く意思表示する。確かにいまBBLを率いるのは。ベジャールの精神を受け継ぐジル・ロマン。新たな時代がはじまっているのだ。

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This entry was posted on January 17, 2010 at 21:23.

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