Avignon Report イスラエル・ガルバン / El final de este estado de cosas, redux

August 25, 2009

Photo © Luis Castilla

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バス停のもぎりの青年がボンソワーと開けたその口で小さなあくびをひとつ。あ、ごめんなさい失礼しました「エクスキューゼ・モワ」とはにかんだ笑みを投げかけてくる。夜9時。街にたまる暑熱がひんやり心地よく夜風に冷やされるとき、アヴィニヨンの人々は今日もめいっぱい人生を謳歌した喜びを実証する幸せな疲れに身を預けていく。市内城壁からバスで半時間の場所にある野外劇場<カリエール・ド・ブルボン>に集まる人々も、そんな軽い酔いのような疲れをたずさえロゼをかたむけ歓談中。開演までまだたっぷり時間はあると、照明灯の緋色の光をほてった体に浴びながら、南仏独特の「あくびの時間」を愉しんでいる。昼間のそれよりやや低いアルトバスの笑いの波紋が、あたり一帯に広がっていく。

 一時間ほどのち。ようやく上演時間となり、人々は天然の石切場にしつらえられた広大な客席スタンドに着席する。そのなかにはむしろこのままパフォーマンスを観ずに、頭を枕にうずめ瞼を閉じてしまいそうな半醒半睡な顔もちらほら。正直、演者にしてみれば厄介このうえないことだろう。これから恐怖にも似た緊張をたずさえ、年に一度のアヴィニヨンの舞台に立つわけだから。頼むからもう少しシャキッと見てくれよ、と懇願したくなるかもしれない。

 だがセヴィリヤ出身の天才バイラオール、イスラエル・ガルバンは、このはなはだ不利な条件下で愚痴をひとつもたれることなく、見事にこの闘いに完勝してみせた。仏『ル・モンド』紙ものちの劇評で「1300人の観衆のただなかに隕石が落ちた」とこの状況を表現。その言葉が決しておおげさとは思えぬほど、フラメンコ界のウィリアム・フォーサイスと称されるこの異端児は、オネムなおめめの観客の意識を一瞬にして覚醒してしまった。

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This entry was posted on August 25, 2009 at 01:51.

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