Paris Report ジョセフ・ナジ / Les Corbeaux

photo © Birgit
だからナジの作品を見て、カフカ的閉塞感があるとか、ボルヘス的な魔術性に満ちているとか、ベケット的な哀しみに満ちあふれているとか、必死に頭をこねくりまわし文学世界の記号で語ることはできるけれど、なんだか、そうすればするほどナジの世界は遙か彼方に遠ざかっていくように思える。むしろ私は彼の作品に、触覚や嗅覚など、もっと原始的な直感でアプローチしたい。特に今回、パリのメゾン・デ・メタロスで見た『Les Corbeaux(鴉)』はラスコーの壁画やアルタミラの洞窟に通ずるような、人間のプリミティブな創作衝動をたずさえていて、まさに直感的。難解なナジ文学というより、簡素なナジ文字が生まれる瞬間に立ち会うような経験であった。
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This entry was posted on August 17, 2009 at 02:04.
今宵、ラヴィレットでこの作品を観て参りました。
そうして、この記事に行き当たり、自分の感じたこととほんとうに同じだ、と嬉しくなり、かつまたそれを明快に表現してくださっているので、爽快な気分になりました。
背景の白い巨大な紙に、ナジが両手でわちゃわちゃっと描いたとき、ふすまに手で落書きをする子供の原始的な衝動が、自分の中に沸き起こり、それをまた、現に行っているナジの身体感覚が、こちらにも体験され、言いようのない幸福感を味わったものです。
言語化できない良さ、それがナジの作品であることを、こんなに上手く言い表してくださって、感謝したい気持ちです。
CDFさん
コメントありがとうございます。ナジの作品の良さを、同じ観劇体験でシェアすることができて嬉しいです。彼の作品は本当に、子供遊びのような愉快さがありますよね。