Theatre Report 「プロペラ」と英国シェイクスピア芝居の最前線

August 4, 2009

photo ⓒ Hikiji Nobuhiko

photo ⓒ Nobuhiko Hikiji

 ウエストエンドと呼ばれるロンドンの劇場街。ここでは今、いつになくシェイクスピアが熱い。そう400年ほど前に死んだあの英国の劇詩人のチケットが飛ぶように売れているのだ。特に現在「ハムレット」を上演中のウィンダム劇場の前には、毎朝、限定30枚の当日券を求める長蛇の列ができる。なぜか。
 答えは簡単。行列者たちはシェイクスピアでもハムレットでもなく主演男優ジュード・ロウを詣でに来ているのだ。
「いまのウエストエンドはセレブ狂いだ」
 英国のある巨匠演出家は昨年末、演劇界のスター至上主義を憂えて、こう新聞に毒ついた。確かに近年は、ユアン・マクレガーの「オセロー」、デヴィド・テナントの「ハムレット」、とスターの名と演目名が併記されることが多い。ただそれが功を奏してか、昨年ロンドン劇場街では経済不況をものともせず、前年比売上3%増。1400万枚ものチケットをさばいた。このご時世、セレブの存在は興業収入に欠かせないのか。

 だが、ここにその方程式を覆す集団がある。セレブな顔はみあたらない。にもかかわらず、つねに90%以上の券売を誇る彼らの名は「プロペラ」。シェイクスピア時代の習わしにのっとり男優ばかりがガヤガヤと集まり、「じゃじゃ馬ならし」「真夏の夜の夢」といった古典演目をヒットさせた。しかも彼らが拠点とするのは、英国田舎町の水車小屋。12年前、水車小屋を改築し、毎晩たった220人の観客のため、シェイクスピアを上演し始めた。今や、世界20カ国を回る一流カンパニーにまで出世した。

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This entry was posted on August 4, 2009 at 20:26.

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