Travelogue ピュターン!

June 18, 2009

DSCF0531一週間もつづく夜雨で街路樹さえ風邪をこじらせそうなパリの晩秋。天候の悪化と平衡してみるみる機嫌も悪化していく出不精なパリジャンたちを尻目に、東京通勤速度の早足で、パリ四区シャトレ広場のテアトル・ド・ラ・ヴィルへ向かう。夜八時。 ピナ・バウシュ、ヤン・ファーブル、ウィリアム・フォーサイスといった名だたる振付家の世界の交叉点でもある百五十年近い歴史を持つ名門劇場に足を踏み入れる。私にとっては、毎年、数回は通うなじみの小屋であり、また数年前に取材相手の山海塾・天児牛大さんに、楽屋から稽古場から前世紀初頭に故サラ・ベルナールが根城としたシャンブルまで、丁寧なガイド付きでつぶさに案内してもらった記憶も愉しい仕事場でもある。 この劇場を久方ぶりに訪れ、気づけば、鬱屈と退屈を持てあますパリの街のけだるさは心から吹き飛んでいる。スッと衿を正したくなるような清潔さで心が充たされている。世界のどこであれ劇場という名の神聖な磁場は、乱調なリズムに堕しかねない、私の心に秩序を取り戻してくれる。

Pages: 1 2 3 4

This entry was posted on June 18, 2009 at 23:06.

Leave a Comment