ポスト・ヒューマン

【Essay】ポスト・ヒューマン演劇の旗手:松井周論

photo: 青木司

松井周をロジカルに語ることじたい、松井的でない。なぜならそもそも彼自身が、論理の一貫性・主体の不変性・思考の自律性といった、いわゆるルネッサンスと共に生まれた西洋ヒューマニズムの基本思想に疑念を抱いているから。ドイツ人がゲーテを読んで育むような精神の修養を、彼はすべからく「からかう」のだ。からかっているだけで否定はしていない、という要点がここでは大事なのだが。「文化の宗主国」といえる西欧の人間は、そのあたりのサジ加減がわからない場合が多く。松井作品はときに誤解を招く。

例えば、英国のとある演劇学者は私の書いた松井評に触れ、「これは嘆かわしい、人類の劣化だ」と叫んだ。あまりに有無を言わさぬその口調に、私はそのとき松井作品の良さをぞんぶんに弁護できなかった。そのときの悔しさをバネに、松井の特異な才能をこの機会にきちんと文章化しておきたい。

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Posted on by K.Iwaki in ARTICLES / 記事
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