ニコラス・シュテーマン

【ARTICLE】コミューンという共同体への憧れ

thumbs.php                           photo:Swamp Club © Martin Argyroglo

フランスの知人宅で一家団欒の食卓に加えてもらった際、驚いたことがある。中学生の息子さんが母親に塩を取ってもらうとき、砕けた言い方ではあるものの、文末に「シル・ヴ・プレ(すみません)」と付けたしたのだ。日本人同士だったなら「母さん、塩」で済んでしまう一文。だが国が変われば内輪であっても、きちんと他者への配慮を添える。家族といえどもあくまでもこの国では、母も子も利権を異にする別個人なのだと思わされる瞬間だった。

ことほどさように私と他者が明解に区分される社会に生きるためか、欧州演劇界ではときに、財産、時間、労働、価値尺度などをみんなでシェアするコミューンというものに対しての非現実的な憧れを目にすることがある。特に現代のような、ごく一部の人間による世界の私有財産化が極度に進んだ社会においては、共産主義的コミューンモデルが理想郷のように思えるのかもしれない。

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Posted on by K.Iwaki in ARTICLES / 記事
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