クンステン・フェスティバル

【ARTICLE】群集を突き動かす声の力:ブリュッセル&ベルリン最前線より

人が集まれば力になる。その力は、暴力にも効力にもなりうる。果たしてこの群集の力は何を獲得すると「アラブの春」のような革命的ソーシャルモブを引き起こすパワーになり、また何が欠けると狂気的な集団ヒステリーに走ることになるのか。欧州圏演劇界でいま盛んに目にする“群集の力”をテーマに取る作品群を、日本の社会事象に引き合わせて紹介する。

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話し言葉の百科全書『組曲第一番ABC』Photo=Patrícia Almeida

群集心理の恐ろしさを舞台上から再三告発してきた劇作家といえば、この国では野田秀樹だろう。例えば『ザ・キャラクター』(10年)では、なんお変哲もない書道教室の教祖の言葉を「考える」よりも先に「信じる」ことを通して、集団が狂気的な暴力性を帯びていくさまが描かれた。この国では、群集は愚衆になぞらえられることが多い。

さて、ここ数年、欧州現代演劇界でも「マス」を題目として取りあげる芝居をよく見かける。だがそれら作品群での群集は“世を荒ませる暴力”を振るう存在であると同時に“世を新たにする動力”を促す人びとでもある。おそらくこうした描かれ方の背景には、個人の声がSNSなどを介して波及し、最終的に国家を動かすまでに至った、「アラブの春」の革命運動などが横たわっているのだろう。日本では人の群れは集団ヒステリーに直結すると思われがちだが、欧州では同じ群れが集合知に依拠するムーヴメントにも繋がっていくのだ。

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Posted on by K.Iwaki in ARTICLES / 記事
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