【BLOG】地獄の週、楽園の週

ロンドンに来て二週間が経過しようとしています。ようやく家が決まり、銀行口座も開き、携帯電話を手に入れ、学業がはじまり、なんとなく「生活」のようなものが築き上げられつつあります。もちろん成人して十年以上経ってから、これほどゼロ地点から生活のすべてを築きあげたのは初めて。一般的には人は歳をとるほど新たな環境にストレスを感じるようになると言われるため、来るまえはちょっと不安に思っていたのですが、いざやってみたらそうでもなかった。というより、適度に歳をとってからのチャレンジでむしろ良かった。

というのもこの歳になるとかなりブレなく「自分好みの生活」があるので、それに則した町、則した家、則した食事処、則したカフェ、などなどをひとつひとつ選んでいったら……、かなり最短距離でベストな環境を身のまわりに整えることができました。これは服選びみたいなもんです。誰だってティーネージャーの頃は、なんでもかんでも新しい服に挑み体力も金銭も消耗しまくります。でも三十にもなれば、まあ、ある程度ニュートレンドに目をむけつつも、自分の服の趣味というものがブレなく定まっていく。だからたとえ千着の服を並べられても、瞬時にそのなかから自分の「好き」を選ぶことができる。で、結論をいうなら、なんでも高くて保守的なロンドンにしちゃかなり理想的な生活環境がいまの自分のまわりにはある。牛肉をキッチンで料理したら激怒された、ヒンズー教徒の家に間借りしていた最初の一週間とは大違いです。

そう、最初の一週間は波乱でした。靴擦れするヒールと似合わない服を着て暮らしつづけるような不格好な毎日だった。まずそもそも一週間たえまなく雨雨雨という不運に見舞われ、わたしは監獄かと思うほど暗い半地下の部屋で濡れたワカメのように湿気た布団にくるまり鬱々と睡眠をとりつづけるしかなかった。大家さんのセフレがいきなり泊まりに来たのもアクシデントで、夜寝られないったなかった。しかもクマだらけの目をこすり地下鉄に乗ると、早朝ラッシュが日本以上に半端ない。アクシデントも日常茶飯事で、渡英二日目にして乗り換え駅がファイヤーアラームで閉鎖。しょうがないから隣駅まで迷いまくって20分歩いたらその駅もなんかの理由で封鎖。じゃあ第三案とバスにのったら大渋滞で遅々として進まない。「ダア、もういいや」と思ってその日は完全に目的地に辿りつくのをあきらめた。で、生活の唯一の希望だった、家から徒歩5分の超良質カフェでストロベリーマンゴースムージー。一杯700円の高級スムージーで心を癒してしのぎました。

打って変わって今週、自分で選んだイーストロンドンの新居に引っ越してからは生活環境が天国です。ここダルストンという町は「英国のブルックリン」と呼ばれる地域だそうで、家賃安、食事安、物価安、ロンドンで一日を争う美味くて安いケバブとフォーがあって、日だまりのカフェも人が少なくて最高。天気が良い日には隣人が屋根のうえで日光浴をしながら食事をしているし、終末には『秘密の花園』のようなプライベートガーデンが市民に開放されピクニックを楽しめるし、今日行ったライフハウスのカフェまえには小さな広場があって客がピンポンをして遊んでいた。しかも大学院への路程は、乗り換えなしで15分。都心の地下鉄と違い全然混雑しないため、来週からは折りたたみ自転車を持ちこんで乗車予定です。とまあ環境自体は最高だから、あとは、、、この生活をいっしょに楽しめる友だちを作るだけ。まあ、それはちょっと時間がかかりそうです。

最後にミニ情報をひとつ。ロンドンでは50年代ヴィンテージファッションが大流行していて、町中にレトロな花柄ワンピや水玉ドレスを着た女の子があふれています。今週末にはサウスバンクセンターで「ヴィンテージ・ダンス・パーティー」が開催されるほど。変な花柄ドレスを着ていけば、夜通しブギーやシミーをして楽しめるのでしょう。ちょっと覗きに行ってみたいかなとも思うけど、まったく似合わない花柄ドレスを着る勇気をふるいたたせられるかどうか……。たぶん、行かないな。

Posted on by K.Iwaki in BLOG / ブログ
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